2014年9月24日水曜日

デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その7

 デルタ型3Dプリンタ『Be Kossel』の続きです。
 前回、ハードウェア環境整いましたので実際に動作検証を行います。

■ソフトウエア環境を整える


・Arduino IDEのインストール


 Sanguinololuを動かすためのファームウェア、Repetier-Firmwareをビルド・書き込みする環境を構築します。

Arduino公式サイトよりArduino IDE(開発環境)をダウンロードします。

 http://arduino.cc/en/main/software

 今回はarduino-1.0.5-r2-windows.zipをダウンロードしました。

 ダウンロードしたファイルを適当な場所に解凍します。
 (以下、C:\arduino-1.0.5-r2フォルダに解凍した前提で説明します)


・Sanguino定義ファイルのインストール


 次にArduino IDEでSanuinololuを認識させるためにハードウェア定義ファイルをインストールします。

 定義ファイルは以下のサイトよりダウンロードします。

 https://code.google.com/p/sanguino/downloads/list

 ファイル名:Sanguino-0101r1.zip


 解凍したファイルを C:\arduino-1.0.5-r2\hardware フォルダ以下にコピーします。

  Arduino IDE(arudino.exe)を起動して『ツール』→『マイコンボード』にSanuinoxxxが追加されていればOKです。


▲Sanguinoxxxが追加されている

・Repetier-Hostのインストール


 以下のRepetierサイトからsetupRepetierHost_xxx.exeをダウンロードします。

http://www.repetier.com/download/

 今回ダウンロードしたファイルはsetupRepetierHost_0_95.exe です。

▲RepetierHost
ダウンロードしたファイルを実行するとインストーラーが起動するので指示にしたがってインストールします。


・Repetier-Firmwareのソース入手


 つづいて、同じDownloadページからファームウェアのソースもダウンロードします。

http://www.repetier.com/download/

 今回ダウンロードしたファイルはRepetier-Firmware_0.83.zipです。

▲Repetier-Firmware

 ダウンロードしたファイルを適当なフォルダに解凍します。
 
 C:\Repetier-Firmware_0.83フォルダに解凍しました。


・ファームウェアのビルド


 開発環境が整いましたので、ファームウェアのビルドします。

 Arduino IDEを起動して 『ファイル』→『開く...』でReptier.pdeを選択します。
 


▲スケッチを開く


 『ツール』→『マイコンボード』で『Sanguino W/ATMega1284P16mhz』を選択します。
 ※購入するときはATmega644Pだと思ったのですが届いた基板にはATmega1284Pが使われていました。


▲マイコンタイプの選択


 『ファイル』→『保存』で一旦保存します。
 
 拡張子をpdeからinoに変換する旨のメッセージが表示されるのでそのままOKボタンを押します。

▲確認ウィンドウ
メニューしたのタブからConfigration.hタブを選択します。

▲Configuration.h

 MOTHERBOARDの値を62(Sanguinololu)に変更します。


// Gen3 PLUS for RepRap Motherboard V1.2 = 21
// MEGA/RAMPS up to 1.2       = 3
// RAMPS 1.3/RAMPS 1.4        = 33
// Azteeg X3                  = 34
// Gen6                       = 5 
// Gen6 deluxe                = 51
// Sanguinololu up to 1.1     = 6
// Sanguinololu 1.2 and above = 62
// Melzi board                = 63  // Define REPRAPPRO_HUXLEY if you have one for correct HEATER_1_PIN assignment!
// Gen7 1.1 till 1.3.x        = 7
// Gen7 1.4.1 and later       = 71
// Teensylu (at90usb)         = 8 // requires Teensyduino
// Printrboard (at90usb)      = 9 // requires Teensyduino
// Foltyn 3D Master           = 12
// MegaTronics 1.0            = 70
// ;egatronics 2.0            = 701
// RUMBA                      = 80  // Get it from reprapdiscount
// Rambo                      = 301
// Arduino Due                = 401 // This is only experimental

//#define MOTHERBOARD 33
#define MOTHERBOARD 62

#include "pins.h"



ファイルを保存したら、検証アイコンをクリックしてコンパイルします。

▲コンパイル


 問題なくコンパイルが終わると以下のようなメッセージになります。

 
▲ビルド完了


・ファームウェアの書き込み


 SanguinololuのCOMポートの番号を確認します。

 COMポートはコントロールパネル→ハードウェアとサウンド→デバイスマネージャで確認できます。SanguinololuのUSBを抜き差しするとポートが消えたり現れたりするのが確認できます。


▲COMポートの確認

 
 Arduino IDE の『ツール』→『シリアルポート』で先ほど確認したPOMポートを指定します。(当方の環境ではCOM6)

▲COMポート指定



 マイコンボードに書き込むアイコンをクリックしてファームウェアをSanguinololuに書き込みます。

▲書き込み


 問題なく書き込みが終わると以下のようなメッセージになります。

▲書き込み完了


・ファームウェアEEPROMの設定


 デスクトップ上のRepetier-Hostアイコンをクリックして起動します。

▲Repetie-Host起動


 起動したら、『設定』→『プリンタ設定』を選択します。

▲プリンタ設定


     Connector::シリアル接続

     COMポート:COM6

     ボーレート:115200

 COMポートはSanguinololuのポートを指定します。

 ボーレートはファームウェアで設定した数値を指定します。

 ちなみにボーレートの数値はConfiguration.hのBAUDRATEで定義されています。
 ※この数字を合わせないと通信できませんので注意


// ##########################################################################################
// ##                           Communication configuration                                ##
// ##########################################################################################

//// AD595 THERMOCOUPLE SUPPORT UNTESTED... USE WITH CAUTION!!!!

/** \brief Communication speed.

- 250000 : Fastes with errorrate of 0% with 16 or 32 MHz - update wiring_serial.c in your board files. See boards/readme.txt
- 115200 : Fast, but may produce communication errors on quite regular basis, Error rate -3,5%
- 76800 : Best setting for Arduino with 16 MHz, Error rate 0,2% page 198 AVR1284 Manual. Result: Faster communication then 115200
- 57600 : Should produce nearly no errors, on my gen 6 it's faster than 115200 because there are no errors slowing down the connection
- 38600

 Overridden if EEPROM activated.
*/
//#define BAUDRATE 76800
#define BAUDRATE 115200
//#define BAUDRATE 250000



 プリンタ接続アイコンをクリックしてSanguinololuに接続します。


▲プリンタ接続

 問題なく接続されると、緑のアイコンに変わります

▲プリンタ接続完了

 『設定』→『ファームウェアEEPROM設定』を選択します。


▲EEPROM設定

 以下の項目を設定します。

   X-axis steps per mm:88.8889

   X-axis max. feedrate[mm/s]:300

   X max length[mm]:340

   X-axis travel accelerration[mm/s^2]:3000


 上記項目をわかる範囲で説明すると

【X-axis steps per mm】 
 X軸のキャリッジが1mm移動するのに必要なモーターのステップ数を指定します。

 BeKosselの場合はタイミングプーリーにS3Mの24歯を使用しています。

 ピッチが3mmですので1回転すると24x3=72mmベルトを引っ張ります。
 キャリッジは滑車を利用して移動するので滑車の原理により移動距離は72mm/2=36mmになります。

 一方、ステッピングモータPKP244D15Aが一回転に必要なステップ数は200ステップ(1.8deg/STEP)になります。A4988ドライバでマイクロステップを1/16に設定してますので200x16=3200ステップとなります。

 これらから1mmあたりのステップ数は3200 / 36 = 88.88888.... となります。

【 X-axis max. feedrate[mm/s]】
 X軸のキャリッジの最高移動速度を指定します。 単位は[mm/s]。

 とりあえず300を指定してます。F値[mm/min]に換算するとF18000になります。


【X max length[mm]】
 X軸のキャリッジの移動ストロークを指定します。

 リニアガイドのストロークが約340mmちょっとあるので340を指定してます。

【X-axis travel accelerration[mm/s^2]】
  X軸のキャリッジの加速度を指定します。

 加速度をあげると移動時間が短くなります。ただあまりあげすぎると脱調します。

 とりあえず3000を指定してます。


・動作確認


 まずは原点復帰を行います。
 プリンタ操作タブのG-CODEテキスト欄に『G28』と入力して送信ボタンを押します。

▲原点復帰


 キャリッジが動きだし、リミットスイッチを検出すると止まります。

 その位置がX軸の原点(0mm)になります。

 動作検証用のNCコードを用意します。

 メモ帳などで以下のNCコードを適当な場所に保存します。

g90
g1 x340 f1000
g1 x0 f1000
g1 x340 f2000
g1 x0 f2000
g1 x340 f3000
g1 x0 f3000
g1 x340 f4000
g1 x0 f4000
g1 x340 f5000
g1 x0 f5000
g1 x340 f6000
g1 x0 f6000
g1 x340 f7000
g1 x0 f7000
g1 x340 f8000
g1 x0 f8000
g1 x340 f9000
g1 x0 f9000
g1 x340 f10000
g1 x0 f10000
g1 x340 f11000
g1 x0 f11000
g1 x340 f12000
g1 x0 f12000
g1 x340 f13000
g1 x0 f13000
g1 x340 f14000
g1 x0 f14000
g1 x340 f15000
g1 x0 f15000
g1 x340 f16000
g1 x0 f16000
g1 x340 f17000
g1 x0 f17000
g1 x340 f18000
g1 x0 f18000


NCコードの意味は0mm-340mm間を往復運動させるだけの単純なものです。

送り速度はF1000から1000づつ増加させF18000まで行います。


ファイル→ファイルを開くで、保存したNCコードファイルを選択します。

▲NCコード読み込み
ジョブ実行ボタンをクリックするとNCコードが実行されます。

▲ジョブ実行

 動作確認の様子アップしました。





 さすがにF18000近くになるとトルクがないのか指で押さえた程度で脱調してしまいますが、とりあえずは問題なさそうです。F10000前後が実用的な速度といったところでしょうか。

 ま、この辺は追々検証していきたいと思います。

 
 つづく。。。



【関連記事】

・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その6
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/09/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その5
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/05/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その4
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その3
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/03/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その2
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel_29.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel.html

2014年9月23日火曜日

デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その6

 デルタ型3Dプリンタ『Be Kossel』の続きです。
 前回、1タワー分の部品が完成しましたので、今回は実際に動かす為の下準備をおこないます。

■下準備

・制御基板について


 3Dプリンターを制御する基板です。

 制御基板には低価格の8ビットマイコンから高性能の32ビットマイコンを使ったものまで様々なものが開発・販売されています。(http://reprap.org/wiki/List_of_electronics)

 多くの製品がオープンソースで開発されていて情報が公開されていますので、市場には本家以外にもクローンや派生製品が沢山溢れています。

 買う側からすると選択肢がたくさんあるというのはとても良いことではあるのですがたくさんありすぎてどれを選択していいのか迷ってしまいますが 多くの3DプリンターではArduino系の制御基板が採用されているようです。

ちなみに、本家Kosselでは以下の制御ボードを推奨しています。

Baboi(Reprapwikiより)

Azteeg_X3(Reprapwikiより)

RAMPS_1.4+ArduinoMEGA(Reprapwikiより)

 ▲Printrboard(Reprapwikiより)

Brainwave(Reprapwikiより)

 この中から選ぶとすると、値段や入手性などを考えると『RAMPS_1.4 + Arduino MEGA』がよさそうですです。 初期に開発された製品で他のものに比べて性能が見劣りがちですがその分日本語での情報も多いので初心者にはやさしそうです。

 更に調べてみると『RAMPS_1.4 + Arduino MEGA』を一枚のボードに一体化したRUMBAというの制御基板を発見。 

http://reprap.org/wiki/RUMBA



▲RUMBA一式
 Arduino MEGAのコンパチブルでトリプルエクトルーダーを想定していてモータードライバが6軸分!?もあります。

▲接続イメージ


入手先はrerapwikiで紹介されてたあったRepRapDiscount Onlineサイトで購入しました。

 モータードライバがA4988タイプとDRV8825タイプがあり、今回は値段が安いA4988タイプ(119ドル+送料20ドル=139ドル)を選択しました。ケーブルやらプーリーなどがセットになっているのでかなりのお得感。他の中華サイト(AliExpress等)ですとさらに安く買えるようです。

・ファームウェアについて


 御基板を決めたら基板を動かすためのファームウェアを選びます。

 こちらも様々なものがありrerapwikiで紹介されてるのだけでも12種類あります。

 (羅列するのも面倒なので下記URL参照してください)

 http://reprap.org/wiki/Firmware

 デルタ対応のファームウェアで有名どころなのがMarlinRepetier-Firmwareの2つのようなので、このどちらかを採用しとけば問題なさそうです。どちらにするかは好みなんでしょうが、今回はRpetier-Firmwareにしました。

▲Repetier Firmware

・ホストプログラムとスライサーについて

印刷したい3Dモデルから印刷用のデータを作成して3Dプリンターに送信するソフトウェアです。

 その他に3Dプリンターの速度やヒーター制御などもおこないます。

 これらのプログラムも様々なものが開発されているのですがRepetier-Firmwareに最適化されているRepetier-hostが使いやすそうなのでホストプログラムはRpetier-Hostにします。

 スライサーもいろいろあるようですね。(;´∀`)

  http://reprap.org/wiki/Slicer

  ・Skeinforge

  ・Slic3r

  ・Cura

  ・RepRapPro_Slicer

  ・Kisslicer

  ・E3D

 スライサーによって生成されるG-CODEに癖があるようで品質も変わるようです。

 現時点ではよくわからないので出力できるようになってから検討したいとおもいます。

・電源について

電源は12Vが必要なので身近なPC用のATX電源を流用してる方も多いようですが、自分はヤフオクで安定化電源を購入しました。12V400Wで送料含めて3000円ちょっとでした。


▲12V 安定化電源
キーワードを『12V』、『安定化電源』で検索するといっぱいでてきます。

 にしても、400W 電源が3000円で買えちゃうんですね。有名どころですと100Wでもこの値段じゃ買えませんよね。基板もそうですが安すぎて心配。(´・ω・`)

■制御基板の設定


・RUMBA - トラブル発生!?

注文したRUMBAですが無事とどきました。海外からの発送なので不着が心配でしたが、注文してからだいたい2週間ほどで届きました。発送元をみると香港からのようです。

▲届いたRUMBA

 早速、PCと接続して設定しようとしたところ、なぜか認識しないです。

 USBシリアル変換にチATmega8U2/16U2が使われてるのでドライバをインストール必要があるようです。下記サイトからドライバを入手します。

 ・RUMBA USB Driver for Windows

 ドライバをインストールしてみたのですが、それでも認識してくれません。 USBコネクタの指し具合で通電したりしなかったりするので、なんとなく接触不良っぽいのですがよくわかりません。(?_?)
 
 一応販売元にメールでアドバイスを求めまたのですが、Google翻訳での英文メールで意味が通じなかったのか現時点で音沙汰なしです。これぐらいのトラブルは自力でどうにかしろってことなんでしょうか?

 トラブルの様子の動画をアップしました。もし原因わかる方いましたらコメントくださいm(_ _)m



 ・他の制御基板の入手


 せっかく購入したRUMBAですが、そういう状況なので一旦使用を保留します。

 もう一枚RUMBAを注文してもいいのですが、同じトラブルにあうと自分のスキルではお手上げ状態ですし、どうせ購入するのなら他の制御基板検討してみることにします。

 で、新たに購入したのがこれ。

・Sanguinololu ( http://reprap.org/wiki/Sanguinololu )

▲Sanguinololu


 チップはATmega644PでMEGAに比べてI/Oポートが少なくなっているのでモータードライバが4軸分でRUMBAと比べると見劣りしますがその分お手頃な価格になっています。予算も限られてるのでその点ありがたいです。RUMBAのA4988モータードライバもそのまま流用できるのも助かります。


▲接続イメージ
 購入先はBanggood.comで送料込で50ドルぐらいでした。モータドライバーなしの基板のみですと30ドルちょとで更に安いのですがせっかくなんでモータードライバのセットを注文しました。
が、届いたのは基板のみ。 しかも、電源コネクタがATX電源タイプ。(商品説明の写真ではネジ端子になってたのですが、、、)

▲届いたSunguinololu

 電源コネクタの件は余ってるATX電源があるのでそれをつかうとして、モータードライバの欠品は痛いのでダメ元で販売元に問い合わせてみました。グーグル翻訳メールでのやりとり数回の後、なんとか無事送ってくれることになりました。後日ちゃんと届きました。海外通販で初のトラブルでしたがちゃんと対応してくれてよかったです。

 動作確認もPCとUSBケーブルで接続するだけで問題なく認識してくれました。

・BeKossel Towerユニットと接続する

 BeKossel TowerユニットとSanguinololuを接続します。

 下図の接続イメージのようになります。

▲接続イメージ

▲電源とPC

▲マイクロフォトセンサー

▲ステッピングモーター
 モーターとフォトセンサーの接続には本来モレックスのコネクタ(Molex 22-01-2046Molex 22-01-2035)を使用するのですが、購入するのも面倒ですしRUMBA付属のケーブルがそのまま使えたのでこれで接続しました。

・ATX電源を単独で使用できるようにする


 ATX電源はそのままだと電源が入りませんので、メインコネクタの黄緑の線と黒の線(複数線あるのでどれでもいい?)をショートさせます。ショートさせるには道通してるのならなんでもいいみたいなので余ってる抵抗使いました。



▲PC電源のメインコネクタ
 正常にATX電源がONになるとファンが回転しLEDが点灯します。

 
▲LED点灯

・何かがおかしい!? - トラブル発生

 ここまで大きなトラブルなく順調に来ましたがトラブル発生です。

 具体的な症状としては

  ・ATX電源がOFFになる。
  ・PCのUSBが認識しなくなる。
  ・Sanuginololuの電源コネクタ近くのコンデンサが発熱
  ・LM7805レギュレーターの発熱

 色々検証してみると、基板に電源コネクタを挿すと電源の安全装置が働いたのかATX電源がOFFになっているようです。何度か抜き差ししてみるとPCのUSBが認識しなくなったり、ATX電源がOFFにならないケースもあるのですがその時は基板から焦げ臭い匂いがしてきたので慌ててプラグを抜く始末。

 素人的に考えても電源周りのトラブルっぽいのはわかるのですが、何が何やらお手上げ状態。

 ジャンクPCから取り出したATX電源なのでこれが原因かと思いましたが、単体で動作させるとちゃんと12V/5V出てましす、念のため別のATX電源をつなげたところ同じように安全装置がはたらいて電源がOFFになります。

 気のせいか電源コネクタを指すと火花みたいなもの見えます((((;゚Д゚))))ガクブル

 ATX電源側に問題ないとすれば基板の不良品ということになるんでしょうか?RUMBAに続いてまたもや不良品つかまされるとはついていないです。(;´д`)トホホ…

・今後の対応

 凹んでいてもしょうがないので気を取り直して今後の対応を検討します。
 対応案は以下の3つ

 1.販売元にクレーム
 2.新たに制御基板を購入
 3.原因調査続行
 

 1.販売元にクレームについて
 制御基板の不良なら素直に販売元にクレームを入れて返品なり交換してもらうのがよさそうですが、Google翻訳英語メールのやりとりうんざりですし、そもそも現時点で制御基板の不良とは確定してませんのでクレームは早計すぎる?

 2.新たに制御基板を購入について
  もう一枚新たに制御基板を購入するのが一番手っ取り早そうです。
  さすがに海外からの購入はリスク高すぎるので、購入するとしたら国内でしょうか。
  ちょっと調べてみると国産のSanguinololu互換ボードでMomoinololuというのを発見。
  本家のSanguinololuをブラッシュアップした製品ですごく良さそうです。
  修理プログラムも用意されていて安心サポート体制です。
  ただ価格は本家の倍ぐらいします。
  予算が足りねえ、、、って最初からこれ購入しとけばよかったんですが後の祭り。(´・ω・`)

 3.原因調査続行
  素人だからとか初心者だかと言い訳がましいこと言わずに原因調査をする。
  やれることはまだあるはず。

・原因調査続行

ってなわけで、原因調査を続行します。

 まずは某掲示板の電気工作初心者スレで質問しました。あくまでも人任せ(;一_一)

 そこでのアドバイスによると電源周りのトラブルで多いのは逆接(+と-を逆に接続)だそうです。

 逆接といわれてもコネクタに爪ついてるし逆に差しようがないのですが、一応確認してみます。


▲爪の位置


▲正しく接続されている

 基板の裏側も確認してみます。



▲基板裏側

 特に問題なさそうです。

 一部ハンダ付けが汚いところがありますが問題なさそう(根拠なし)

 電源コネクタ部分にシルクスクリーンがあり12VとGNDの位置も問題なさそう、って、、ん!?


▲爪の位置?

 何やらコネクタの爪の位置らしいのがプリントされてます。

 もう一度コネクタ側を確認。


▲爪の位置は基板外向き

 コネクタの爪は基板の外側にあります。

 もう一度基板裏側を確認。


▲爪の位置?

 コネクタの爪の位置らしきものは基板の内側になっています。

 ネットで拾った表側のシルクスクリーンの画像も確認してみます。


▲爪の位置?

 やはりコネクタの爪の位置らしきものは基板の内側になっています。

 ネットで拾った他のSanguinololuの実物写真とも比べてみます。


▲爪の位置

 コネクタの爪の位置は基板の内側になっています。

 もう一度、手元にあるSanguinololuを確認してみます。


▲爪の位置

 コネクタの爪の位置は基板外側になっています。

 コネクタで見えにくいですがコネクタとコンデンサの間に爪の位置らしきシルクスクリーンが確認できます。

 もう一度、裏側の、、、、ってもう確認はいいか。

 これはコネクタの向きを逆にしてハンダ付けしてしまったってことなんでしょうか????
 いくらなんでも検品して出荷されてるだろうしコネクタの向きはこれが正しくて、ATX電源によってプラスとマイナスが逆になる場合があるんでしょうかね。

・原因は電源の逆接と判明


 ま、とにかく原因は某掲示板の助言どおり電源の逆接と判明したので対処します。

 ATX電源のコネクタ一度ぶった斬ります。
 
▲ATX電源のコネクタ

 線の端にバナナプラグをハンダ付けし、黒-茶間で接続しなおします。



▲黒-茶間で接続

 これで正しく制御基板に12V供給できるようになりました。


▲コネクタの向きは逆だけど逆接回避


 電源コネクタを基板に接続しても、ATX電源がOFFになることないので正常に供給されているようです。

・5Vが供給されない!?

問題なく動いているように見えてたSanguinololuですが、テスターでLM7805を調べてみると5Vが出力されていないようです。orz

 逆接を繰り返している時にかなり発熱してましたから、それが原因で壊れてしまったっぽいです。 
 幸いにも手元に予備のLM7805があるので交換してみることにします。 

 まずはハンダゴテをLM7805の足に当てながら基板から取り外します。

 ただ中々難儀な作業で結局ニッパーで切りました。

▲破損したLM7805

制御基板に残った足も何とかとれたのですが、ランドにまだハンダが残ってます。 
 





 あとはドリルで穴開ければいいかと思いましたが、ランドの銅箔が剥がれて絶対やっちゃダメだそうです。

 はて、どうしたもんかと途方にくれていたところ、ふとSanguinololuの電源のコンフリクト問題というのをおもいだしたました。 以下のブログのコメント欄でそのことにふれています。

  Genie's Blog - Sanguinololu Rev.1.3 改


 USB端子から出力されている5VとLM7805が出力する5Vが衝突する問題らしいです。

 何が問題なのかは不明ですが問題あるのなら取付けないほうがよさそうです。
ヾ(・∀・;)オイオイ

 LM7805から出力される5VはATmega644Pとリミットスイッチ端子への供給をおこなっています。

 ATmega644PはUSB端子出力5Vから供給できますし、リミットスイッチ端子にはLM7805出力の5VかATX電源出力の12Vの選択ができます。

 今回使用するフォトセンサーは5V~24Vまで対応しているので12Vでも問題ありません。

 PCと接続した状態でしか使用できない不便はありますが動作検証には問題ないのでこれでよしとします。

・リミットスイッチ端子への電源供給

リミットスイッチ端子への5V/12V切替は基板裏側にあるソルダーパッドで行います。

▲ソルダーパッド

3つあるソルダーパッドの左から2つをハンダで盛ってつなげてあげます。



▲ハンダを盛る


 これでリミットスイッチ端子に12Vが供給されるようになりました。



・ステッピングモータの電流値の設定

ステッピングモータに流す電流値を決めA4988に設定します。

 A4988は最大で2Aの電流を流せます。

 今回使用するステッピングモータPKP244D15Aの定格は1.5Aになります。

▲PKP244D15AL

 電流値を設定するには各A4988基板の半固定抵抗のボリュームを調整して行います。


▲半固定抵抗

 半固定のボリュームとGND端子間の電圧を測定し、希望の電圧値に調整します。
 時計回りに回すと電圧が増え、反時計周りに回すと電圧がさがります。

▲ボリューム回転させて調整する


 設定する電圧は以下の式から求められます。


 電圧 = 設定電流 x 0.4 


 例えば1.5Aに設定する場合は、1.5Aに0.4をかけた0.6Vになるように調整します。
 

 ただし、最大2Aまで流せるA4988ですが適切な放熱対策していることが前提のようです。適切な放熱対策をしていないとチップがすぐ焼損してまうようです。 一応申し訳程度のヒートシンクで対策は行っていますが1.5Aには対応できなさそうです。

 ですので今回は動作確認だけですので、とりあえず1Aに抑えて調整します。(1A x 0.4 = 0.4V)
 
 ※電流値は最終的に組み上げた上でモーターが脱調しない程度に尚且つ無駄な発熱もしない程度の電流値で運用するみたいです。

▲0.4Vになるように調整

 あと調整する上で注意点として、ボリューム端子を調整する時に精密ドライバを利用するケースが多いようですが、ボリューム端子に通電してるので金属製のドライバを使うと問題起こることがあるようです。

 なので調整には樹脂などの絶縁性の精密ドライバを使うほうがいいみたいです。

 自分はRUMBAに付属していたものを使用しました。

▲絶縁性精密ドライバ



 かなり長くなりましたが、制御基板側の設定はこれで概ねおわりました。
 
 次回はソフトウェア側の設定をおこないます。


 つづく。


【関連記事】

・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その7
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その5
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/05/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その4
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その3
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/03/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その2
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel_29.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel.html