2014年3月29日土曜日

デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その4

 デルタ型3Dプリンタ『Be Kossel』の続きです。
 今回製作するパーツはframe_corner(アイドラ側)、Vertical carriage(キャリッジ)、frame_guide stopper(ガイドストッパー)になります。
▲今回製作するパーツ



■frame_corner(アイドラ側)パーツの製作

 パーツ構成はマウント部分を除いて前回製作したframe_corner(モーター側)とほぼ同じです。
 被削材は材料節約のため前回加工した後の端材を使用する関係上、まずはマウント部分とサポート部分から加工します。
 パーツをまとめて加工したほうが段取りが減って楽になるのですが、その分加工時間も伸びるし、何より加工失敗した時のダメージ大きいので手間は増えますがコツコツ加工したほうがいいかもです。

 表面の加工です。

【被削材】
 POM t12mm(前回の端材)
【工具】
 ラジアスエンドミル3mmR0.2mm
【加工時間】
 約2時間
 
▲サポート部分とマウント部分の表面加工終了

 裏面の加工です。

【被削材】
 POM t12mm(前回の端材)
【工具】
 ラジアスエンドミル3mmR0.2mm
 スクエアエンドミル2mm
【加工時間】
 約3時間

▲サポート部分とマウント部分の裏面加工終了
 特に問題なく加工できました。


 つぎに新たに購入したPOM板をセットしてベース部分の加工を行います。

 表面の加工です。 
【被削材】
 POM 200mmx150mmxt12mm(平面出し済み)
【工具】
 ラジアスエンドミル3mmR0.2mm
【加工時間】
 約2時間



▲ベース部分の表面加工終了

裏面の加工です。

【被削材】
 POM 200mmx150mmxt12mm(平面出し済み)
【工具】
 ラジアスエンドミル3mmR0.2mm
 スクエアエンドミル2mm
【加工時間】
 約4.5時間


▲ベース部分の下面加工終了



加工終了したパーツです。

▲加工したパーツ

 途中、過負荷で止まるトラブルが発生しましたが、幸いにも荒加工でのトラブルだったのでなんとかリカバリでき材料を無駄にすることなく最後まで加工できました。

 平面出し済みの材料を使ってるので加工時間は節約できますが、その分材料費が高くなっていますので材料が無駄になるような失敗はなるべく避けたいところです。



■キャリッジ(Vertical carriage)とガイドストッパー(frame_guide stopper)
 
 続いてはキャリッジとガイドストッパーです
 プリントパーツ版は形状が複雑でやはりモデラで加工するには難しいので切削加工パーツ版は両面加工で製作できるように形状を簡略化しました。

▲プリントパーツ版キャリッジとガイドストッパー

▲切削加工パーツ版キャリッジとガイドストッパー

 上記形状で加工のシミュレートをしてみると工具が干渉して加工出来ない部分があることが判明したので今回更に簡略化して以下のような感じに変更しました。
 大きさも材料費を節約するためになるべく小さくするようにしてたのですが、小さすぎても加工時の固定に支障がでそうなので若干サイズを大きくしました。
▲修正済みキャリッジとストッパー

 プリントパーツ版との違いはプリントパーツ版ではアームをキャリッジに直接固定していましたが、切削加工パーツ版では両面加工で対応できるように上から押し付けて固定する方式にしています。ベルトもアイドラで受けるように変更しました。(修正済みCADデータはこちら

▲キャリッジ

 ガイドストッパーはリニアガイドのブロックの落下防止用ですが、リニアレールの位置決め用途も兼ねています。
▲ガイドストッパー

Vertical carriage、frame_guide stopperパーツの製作

 モデラで加工します。
 被削材はベース部分を加工した端材を使います。 

 表面の加工です。

【被削材】
 POM t12mm
【工具】
 ラジアスエンドミル3mmR0.2mm
【加工時間】
 約1時間




▲キャリッジとガイドストッパの表面加工終了

 裏面の加工です。

【被削材】
 POM t12mm
【工具】
 ラジアスエンドミル3mmR0.2mm
 ボールエンドミルR0.6mm
【加工時間】
 約1.5時間

▲キャリッジとガイドストッパの裏面加工終了


加工終了したパーツ。

▲加工したパーツ

 トラブルもなく加工できたと思ったのですが、加工したパーツをよくみてみると0.2~0.3mmほどの加工ズレ?が発生していましたorz
 加工ズレが起こる原因は表面加工原点と裏面加工原点のズレからくるものと思われるのですが、モデラの限界なのかそれとも自分のやり方が悪いのかいまいちわからんです。
  

▲加工ズレ?

 この部分はアームの位置決め基準面になるので精度に影響がでそうです。作り直したほうがようさそうですが、動作検証自体には問題はなさそうなのでとりあえずはこのままで良しとします。
 出力精度にどの程度影響でるかの検証もできますし、問題があるようならその時は設計変更も含め作り直しを検討します。


■穴あけ治具ドリルガイド)の製作
 ネジ穴用の下穴加工はモデラではなくドライバードリルで加工します。
 前回の加工では正確な位置に穴あけするのができませんでしたので、今回、穴あけ用の治具を製作しました。
 治具といっても、位置決めピンと板に穴を開けただけの簡易なものです。


▲穴あけ治具
使用イメージはこんな感じで、前もって空けといた穴にドリルを突っ込むだけです。

▲使用イメージ


 実際に治具を使ってframe_cornerのベースパーツの穴あけしてみます。
 まずは位置決めピンを差し込みます。

▲位置決めピンをセット


 位置決めピンに添って、ベースパーツを挿しこみます。

▲パーツを固定

 そのままバイスに固定して、対象の穴に添ってドリルを突っ込みドライバードリルで穴あけします。

▲バイスで固定

 今回は正確に穴あけができました。
 こんな簡易なものでも効果絶大です。

▲穴あけ加工完了

 あとは位置決めピンを挿しなおして、ベースパーツの反対側、キャリッジ部分の下穴加工をしてタップ加工すれば完成です。



■まとめ

 今回で必要な切削加工パーツは完成しました。
 次回は組立作業に入りたいと思います。


つづく。 


【関連記事】


・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その7
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その6
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/09/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その5
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/05/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その3
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/03/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その2
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel_29.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel.html

2014年3月19日水曜日

気になる3Dプリンタ da Vinci ダヴィンチ 1.0 お値段なんと6万9800円(送料・税込)

 キット、完成品を含め数多くの3Dプリンタが発売されていますが、よさげな3Dプリンタを発見。
 送料・税込みで69,800円!?という格安のお値段です。(海外だと500ドルと更に安くなってるとか)

■主な仕様
【造形サイズ】
 20x20x20 cm
【積層ピッチ】
 0.1~0.4 mm
【印刷方式】
 熱溶解樹脂積層法(FFF) フィラメント1.75mm、ノズル直径0.4mm
【印刷速度】
 150mm/秒
【筐体サイズ】
 高さ510mm×幅468mm×奥行き558mm、重量23.5kg

 価格の割にかなり期待できそうな性能ですね。

 当方でもデルタ型の3Dプリンタを製作中ですが1軸作るのに現在までにかかった予算が既に7万円超えてますorz。これを素直に買ったほうが良かったんじゃないか?と思わないわけではないけど、始めたからには一応完成目指して頑張ります。

 で、このダヴィンチを製作・販売しているXYZプリンティングという会社は台湾を拠点に電子機器を製造する金寶グループを母体とするプリンタ専業メーカーだそうで。3年間で100万台を販売目標としてるようです。
 こんな安くて儲け出るの?の疑問がありますが、会社によると当然儲けはないそうです。このエントリーモデルで3Dプリンタの普及をめざして、ミドル・ハイエンドモデル機で利益を出す戦略とか。あと専用フィラメントでの提供は2Dプリンタのインク商法にならっているのでしょうか。

 何かと話題の3Dプリンタですが、大手が参入することで一過性のブームで終わることなく一般に普及してくれるのを期待しています。





【関連記事】

・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その3
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/03/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その2
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel_29.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel.html


以下、アフィリエイトリンクです。






2014年3月11日火曜日

デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その3


 デルタ型3Dプリンタ『Be Kossel』の続きです。
 前回から少し修正してR2になりました。
 CADデータはこちらからダウンロードできます。

▲Be Kossel R2

 試作にあたっては資金不足や設計ミスやらでプロジェクト自体頓挫する可能性もあります。いきなり全部つくろうとして失敗するとダメージでかいので、当面は1軸分のパーツの完成を目標にして製作していきたいと思います。


▲1軸分のパーツ

 検証後問題なければ、同じパーツをあと2軸分つくればいいだけなので製作もスムーズになると思います。(この製作が容易になるのはデルタ型ロボットのメリットのひとつですね。)


■frame_cornerパーツの製作

 今回、製作するパーツはframe_cornerパーツです。
 プリントパーツ版のframe_cornerパーツは3Dプリンタで出力することを前提にしていますので、以下のような複雑な形状でも造形が可能ですが、モデラで作る場合は当然ですが加工するのはちょっと無理そうです。



▲プリントパーツ版のframe_corner
 モデラで加工できるように分割組立方式しました。
 オリジナルではTop(アイドラ側)パーツとBottomパーツ(モーター側)と2種類のパーツになっていましたが、Be Kosselではマウントの部分を除いて共通化しています。部品数は増えますがパーツ種類が少ない方が製作するうえで都合もいいので。
 あとモーターの配置をTop側に変更しています。
 
▲切削加工版のframe_corner

■材料と工具

 被削材はPOM板です。サイズはMDX-20の加工範囲ギリギリの200mm x 150mm x t12mmです。
 板1枚でframe_corner1セット分とれますので1軸分2セット作るのに2枚必要になります。
 
 POM板は前もって表面と裏面を平面だししてもらってますのでモデラでの面だしは不要です。
 材料切り出しのままに比べコストが倍以上しますが、モデラで上下面だし加工をすると2時間ぐらいかかりますし、精度のことも考えるとコストアップ分の価値はあると思います。


▲POM板 (平面出し済み)

 使用工具は3mmR0.2ラジアスエンドミルです。
 基本これ1本で荒加工から仕上げ加工までおこないます。

 工具交換が増えると交換の都度Z軸の原点だしをしないといけないのでその分精度に影響してきますのなるべく工具交換がないような設計になっています。


▲3mmR0.2ラジアスエンドミル

 ただ、この工具で削れない場所もありますので(3mm未満の穴やネジ加工など)加工できないところは小径のエンドミルを使うか、後で手作業で追加工します。


■モデラで加工

 まずはモーター側のframe_cornerの加工をします。
 写真は表面の加工が終了したところです。


▲表面加工

 裏面加工はパーツを切り抜きしますので、パーツがバラバラにならように両面テープでテーブルにしっかり固定します。

▲両面テープで固定

 裏面加工終了

▲裏面加工

 加工が終わったパーツ



 ここまで写真数枚であっという間に完成してますが、実際の加工時間は上面で5時間30分、下面で7時間。合計で12時間30分(!?)かかってます。(段取りもいれるとほんと一日がかり)
 こういう長時間な加工の場合、大概何かしらの失敗をするのですが今回は前もってスタイローフォームでテスト加工してからの作業だったので特に失敗もなくうまくいきました。
 

■追加工

 次にモデラで加工できない穴あけとネジ加工をおこないます。
 穴あけにはドライバードリルを使います。


▲穴あけ
M3のネジ加工はスパラルタップを使います。


▲M3スパイラルタップ

■仮組み。やはり問題発生、、、

 タップ後、仮組みしてみたところ穴がズレてましたorz...
 やっぱりボール盤などで加工するのと違ってドライバードリルだと正確な穴あけは難しいですね。
 今度穴あけするときは治具(ガイド)を製作したほうがよさそうです。

▲ネジ穴がずれてる、、、
今回はしょうがないので通し穴のほうを少し広げて対応することにします。

▲穴を広げる
仮組みはこんな感じです。


▲仮組みしたfram_corner

 
▲アルミフレームを装着してみる
■まとめ
 追加工で失敗がありましたが、モデラでの加工は精度もそこそこありかなりしっかりしたものがつくれました。手前味噌で恐縮ですが3Dプリンターで作ったパーツより精度、剛性もありこれはかなり期待できそうな予感。アイドラ側のframe_cornerの加工もほとんど共通化部品ですので問題ないでしょう。

 ただこれからモデラをかなり酷使するのでそのへんがちと心配です。


つづく。


【関連記事】
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その7
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その6
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/09/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その5
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/05/3d-kossel.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その4
http://modela-fan.blogspot.jp/2014/03/3d-kossel_29.html ・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL その2
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel_29.html
・デルタ型3Dプリンタ KOSSEL
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/12/3d-kossel.html