2013年7月13日土曜日

スピンドルユニット(PS-6)のベアリング交換

 モデラで加工中に過負荷で止まるトラブルが発生するようになりました。
 そんなに負荷がかかるような無茶な加工はしてないので、モーターの寿命かな?ともおもいましたがスピンドルユニット(PS-6)が手でさわれないぐらい熱くなっていて、ベアリングからも異音がしますのでどうやらスピンドルユニットの寿命のようです。

▲スピンドルユニット PS-6


 メーカー仕様によると交換の目安は700時間になっています。
 700時間もまだ使ってないのになんで?新品買うとなると結構高いのよね。
 あーショック(´・ω・`)
 交換時間はあくまでも目安で当然使用状況によって寿命はかわってくるのでしょうが、普段からなるべく負荷のかからないように心がけてるだけにこの出費は痛いです。
 

●ベアリングの交換

 今回の場合、寿命なのはスピンドルユニットに使われてるベアリングだと思うのでこれだけを交換できれば節約できそうです。
 モデラのスピンドルユニットに使われてるベアリングはミネベアのLF-1680HHのようです。
 ISO/JIS規格でF688ZZと言われてものと同じものです。

 スピンドルユニット(PS-6)を購入した場合はAmazonで約12,000円。
 一方、ベアリングだけ購入した場合は楽天で2個で400円前後。送料を含めても1,000円ぐらいでかなりのお得感。
 というわけで早速取り寄せてベアリングの交換をしてみました。

▲取り寄せたベアリング(F688ZZ)


 ベアリングを外すには内掛用のベアリングプーラーを使うのがよさそうなのですが、Amazonで9,000円ぐらいで結構な値段しますね( ;∀;)
▲ベアリングプーラー

 今後のことを考えると、こういう工具があると何かと便利なので購入しといても損はないのでしょうが、今回は手元にある工具を使って(六角レンチとプラハン)作業することにします。
 ハウジングの受台はモデラで自作しました。

▲今回の作業で使用する工具類


 まずはカップリングとスピンドルシャフトとハウジングに分解します。

▲左からハウジング、シャフト、ワッシャー、カップリング



 次にハウジングからベアリングを取り外します。
 やり方は受台にハウジングを載せてから取り外すベアリングの反対側から六角レンチを突っ込んでベアリング内輪に引っ掛けてから釘を打つ要領でプラハンで六角レンチをひっぱ叩きます。(乱暴なやり方でハウジングにも工具にもよくないので良い子はちゃんとベアリングプーラーを使いましょう^^;)

▲断面イメージ



 ただ結構な力で叩いてるのにベアリングはビクともしません。
 ググってみると、通常スピンドルユニットなどに使われるベアリングは芯ブレ防止や精度向上の為にロックタイなどのねじ緩み止め剤でハウジングに固定されて使われるようです。
 (恐らくMODELAのスピンドルユニットもそのようなゆるみ止め剤でベアリングが固定されてるのでしょう。)
▲ネジやベアリングの固定に使われるロックタイト
(2013/7/30追記)ベアリングの固定にははめあい用のロックタイトがあるのでそちらを使うのがよいとの指摘ありました。(641など)



 ロックタイトで固定されてる場合はガスバーナー等で熱を加えてやると外しやすくなるということなので、オーブントースターで10分ほど加熱してからプラハンで叩いたら今度はうまく外れました。

▲取り外したベアリング


 あとは新しいベアリングを装着して、スピンドルシャフト、カップリングを組み込んで作業完了です。(必要に応じてベアリングはロックタイトで固定します)

 
●慣らし運転

 新しいベアリングに交換したら加工に使用する前に慣らし運転が必要です。
 手で回してみるとわかるのですが、かなり抵抗がありあまり回ってくれません。
 初期のベアリングは封入されているグリースが側面に供給されてるだけですので、慣らし運転によって必要量を転走面に供給し、余分なグリースを飛ばします。

 やり方は外部電源(16V~24V)につなげて6,000~11,000rpmの範囲で徐々に回転数をあげなら回します。
 回転数をあげるほどベアリングから熱が発生しますので、とりあえずハウジングの温度が50度超えない程度に扇風機の風を当てながら2,3時間回しました。

▲慣らし運転

 慣らし運転後、ベアリングをみてみると余分なグリースがシールドからにじみ出ています。
 余分なグリースを拭き取り、更にシールドの隙間に軽くCRC556を吹きます。(あまり吹きすぎるとグリースなくなっちゃうのでほどほどに)

▲余分なグリース


 電流値を測ってみたところ当初0.7Aぐらいだったものが慣らし運転後には0.29Aぐらいになりました。
 正常なスピンドルユニット(PS-4)の無負荷運転時で0.14Aぐらいなのでそれに比べるとまだ負荷が高いようですが、慣らし運転も結構めんどいし使ってくうちにこなれてくると思うので様子見ながら使うということでこれでよしとします^^;



●まとめ
 メーカーか出荷されるスピンドルユニットはハウジング、ベアリング、シャフトそれぞれの部品が一体化して検品、精度保証されてるものなので、ベアリングだけ交換しても新品同様の性能を得るのは難しいのでしょうが、それらを踏まえても、部品コストが新品にくらべ1/10の以下で済むことや慣らし運転が面倒でなければ今回の作業を行う価値はあるのかな?
 今回はベアリングだけ交換しましたが、当然ハウジングやシャフトにも寿命があるわけで、ベアリング交換しても精度が得られない場合は荒取り加工専用に使って仕上げ用には素直に新品を購入したほうがよさそうですね。

 
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1 件のコメント:

  1. スピンドルユニットに対する理解が深まりました。ありがとうございます。決心がついたら、リンクから工具等を購入してトライしてみようかと思っております。今後も楽しませて頂きますので、よろしくお願い致します。

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