前回交換したモーター(RS-365SH)を使用して実際に加工して検証してみました。
■実際に加工してみる。
ちょうどモーターマウントを作る必要があったのでこれを検証がてらに加工してみることにします。被削材はA2017(ジュラルミン) で板厚は5mmです。
▲今回加工するモデル(モーターマウント) |
ツール:ラジアルエンドミル2mm
Z切り込み:0.03mm
送り:5mm/s
加工時間が両面で約12時間の大仕事です。
加工時間が長いのは純正のモーターに比べトルク(回転数)がないようなので念のため送りをデフォルト設定の半分の5mm/sとしたためです。まずは表面側の加工を行います。
両面加工のため位置決めピンを使用しています。
▲A2017(ジュラルミン) t5mm |
表面内側のポケット加工終了。
いい感じです。
次に裏面加工です
ワークを裏面にひっくり返して固定します。
今回、タブを設けてませんので、切り抜いた部品がズレてしまうので両面テープでも固定しています。(これが後にトラブルの原因になるのですが、、、)
▲裏面加工 |
加工時間短縮のために前もって十字に切込みます。(これぐらいのちょっとした工夫でも30分ぐらいは短縮できます)
▲予備加工 |
内側のポケット加工終了。
▲裏面ポケット加工終了 |
交換したモーターは特にトラブルもなく、若干純正モーターに比べ発熱があるようですがヒートシンクの効果もあってか50度前後でおさまってますので問題なさそうです。
■トラブル発生!
ここまで特に問題なかったのでもう大丈夫だろうと思い食事の為1時間ほど席を外してたのですが
食事から戻ってみるとMODELAの方からガッガッガッ、ガリガリ、ガリガリと何やらいつもとは違う異音がしています。
MODELAを見に行くと、本来加工する場所とは関係ないところを無理に削ろうとしてガリガリやってました。慌てて電源を切って加工を中止しました。
▲エンドミルがつけた傷跡 |
発生の瞬間を見たわけでないので推測ですがおそらく以下のうようなことが起こったと思われます。
①両面テープでの固定が甘かった為、部品を切り抜いた際に部品がずれてしまう。
②ずれた部品とエンドミルが干渉してステッピングモータが脱調。
③脱調して座標がずれ、関係ないところを加工して更に脱調。
②と③を繰り返してたようです。
本来、純正のモーターであれば②のモーターがロックした時点で過負荷エラーで止まるはずなのですが今回交換したモーターでは過負荷を検出せずにそのまま加工を続行してしまってます。
■なぜ過負荷エラーにならない?
MODELAはモーターにおよそ1A以上ながれると保護回路が働き過負荷エラーで止まる仕様になっています。
RS-365SHのデーターシートをみるとモーターロック時には1.32A流れるので一見問題ないようにみえるのですが実際には0.8Aほどしか流れていませんでした。
モーターの抵抗をテスターで測定してみると21.4Ωありました。
オームの法則の電流(I)=電圧(V)÷抵抗(R)にあてはめると
19V÷21.4Ω=0.88A
データシートの数値に届かないのは電圧が低いのと、EMIやら配線コードでモーターの抵抗値が増えってしまったからなんでしょうか?とにかくこのモーターでは1A以上ながれないので過負荷を検出できないことになります。
■対策
過負荷が検出できないと、モーターが焼損したり最悪発火するケースもあるので、無人運転させる際には過負荷を検出してエラーで止まってくれないのはちょっと心配です。
ただ今回の場合は幸いにもモーターが熱くなる程度で済みましたのでそこまで心配する必要はないのかなという気もします。 どうしても心配な場合はMODELAはモーターが断線した場合もエラーでとまってくれますのでEMIボードにリセッタブルヒューズをとりつけることで対策になるかも?(手元に部品がなかったので未検証ですが)
■まとめ
今回の検証で過負荷エラーにならないトラブルはありましたが、通常の加工は問題なくできるということがわかりました。(寿命については更に検証が必要ですが)
難点は入手性でしょうか。自分の場合、正規代理店経由での入手は個数の関係上難しかったのでヤフオクで入手しました。
2013/913現在でもまだ出品されています。
http://auctions.search.yahoo.co.jp/search?auccat=&p=RS-365SH&tab_ex=commerce&ei=euc-jp
値段が420円と純正モーターに比べて安いのでモーターの消耗が激しいヘビーユーザーの方は予備用に入手しとくのもあり?(ちなみに当方と出品者の方とは一切関係ありませんので)
普通(?)のユーザーにとっては、パワーが純正より落ちますし、取り付けにははんだ付けが必要になるのでRolandさんが純正モーターを供給してる間は無理してこのモーターを使うメリットはあまりないかもです。
次回は比較的入手が容易なRC用のブラシレスモーターへの交換に挑戦したいとおもいます。
つづく
■関連記事
・スピンドルモーターの交換 その1
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/06/blog-post.html
・スピンドルモーターの交換 その2
http://modela-fan.blogspot.jp/2013/08/blog-post.html
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