2013年5月6日月曜日

スイッチドグの製作

●スイッチドグとはフロントカバー部分についてる金属部品です。(センサードグとかストライカーとも言うそうです)

▲フロントカバーのスイッチドグ


 モデラのフロントカバーは切子飛散防止目的だけでなく安全装置の役割も果たしています。
 実際運用してみるとわかるのですが、フロントカバーが装着してあっても思ったより切子は飛散するし、
フロントカバーをはずして安全装置が働くとZキャリッジがHOMEに強制移動するのでツールのセット(ワーク上面にあわせる)ができなかったりと運用上とても邪魔になります。
おそらくほとんどのモデラユーザーの方はフロントカバー無しで運用してるかと思います。

フロントカーバーを装着しなくても運用できるようにするために今回スイッチドグを製作します。

●モデラの安全装置は、本体のマイクロスイッチの開閉状態でおこなっています。
スイッチドグでマイクロスイッチON状態にすると安全装置解除、OFF状態になると安全装置が働くという感じです。
▲安全装置のしくみ




●完成イメージです。
▲今回製作するスイッチドグ

●本体への装着はセンサーカバー部にネジがついているのでこれを利用してスイッチドグを固定します。

▲ネジを利用して固定

●実際の加工は折り曲げた状態ではできませんので展開した状態でおこないます。

▲展開イメージ


●材料はジャンク箱に転がってたHDD用のヒートシンク(アルミ板t1mm)を使用しました。
   

▲アルミ板t1mm
ワーク固定用の穴はMODELAで開けると時間かかるので前もってインパクトドライバーとドリルを使って開けてます。



●テーブルにネジで固定します。外形に沿ってワークを切り抜きますので、捨て板の上にセットしてます。

▲ネジで固定


●使用工具は2mmのスクエアエンドミルです。
▲2mmスクエアエンドミル

軽金属を加工する場合は加工負荷軽減のために刃物径はなるべく細く、かと言って細すぎてもビビリますのでびびり軽減のために刃長は短くシャンクは太く的な感じでバランス的に2mmぐらいが良い感じです。

●モデラにセットして加工します。
・送り:1.6mm/s
・z切込み:0.05mm
・加工時間:約2時間

▲加工の様子



もう少し条件上げれば加工時間も短くなるのですが、音もうるさくなるしモデラにもやさしくないのでチマチマ加工します。



●加工終了です。
▲加工終了

このアルミは純アルミ(A1050?)なのか柔らかく粘りがあり仕上がりはよくないです。
(一般的に硬い方が加工しやすいと言われてます)
ネジ止めした際にも板が歪んだようで平面もでてなかったようで、罫書き線が途中までしかけずれてません。
精度はあまり関係ないのであとは手仕上げしてこれでよしとします。

●ニッパーで切り離して、バリをヤスリで処理します。

▲切り離したドグ



●ペンチを使用して折り曲げて完成です。(ベンダーがあれば綺麗に曲げられるのですが)


▲罫書き線にそって折り曲げる

▲完成品

▲モデラに装着したところ

見てくれはちと悪いですが機能としては申し分ないです、はい。

●板金バージョン以外にもPOM版もつくってみました。
こちらのほうが加工時間も短く良好でした。

▲POM版スイッチドグ


●まとめ
ここまで書いといてあれですが、わざわざ時間かけてこんなものつくるより割り箸の切れ棒でも突っ込んどけば済む的な話ではありますがネタもないので記事にしてみました。(^^ゞ


3Dデータは以下のサイトで公開してます。



2013年5月3日金曜日

レジンキャストの加工

 レジンキャストとは2種類の液体を混合するだけで樹脂に固まる合成樹脂です。
主に部品の複製やガレージキットなどで使われるものですがモデラの被削材として加工テストしてみました。(ちなみに本来のレジキャストの意味は「合成樹脂の成型方法」を意味する言葉らしいです。wiki参照

 加工テストに使用したデータは以下のような女性上半身にしました。

▲女性の上半身データ

● レジンキャストは各社から何種類か発売されていますが、今回は『ボークス造形村 EXキャスト ホワイト 120秒タイプ』を使用しました。

▲今回使用したレジンキャスト

●加工データに合わせたレジンブロックを作ります。
レジンブロック(約110 x 63 x t30mm)

この大きさで約220g使いました。コスト的には400円~500円ぐらいになるのでしょうか。


●使用する工具は粗加工に4mmラジアス、仕上げにR0.75mmボールを使用します。
▲4mmラジアス(下)、R0.75mmボール(上)

●レジンブロックをモデラにセットします。
▲モデラにセット


●まず最初に4mmラジアスで荒加工します。
送り速度:8mm/s
Z切り込み:1.5mm
加工時間:約3時間


▲正面側の荒加工



▲正面側の荒加工完了

Z切り込み量が1.5mmだとちょっと厳しい感じだったので背中側はZ切込み量を1mmに変更しました。



▲背中側の荒加工



▲背中側の荒加工完了

● R0.75mmで仕上げの前に4mmラジアスで削れなかった削り残し部分の加工をします。
送り速度:12mm/s
Z切り込み:0.5mm
加工時間:約30分


▲R0.75mm削り残し加工



▲R0.75mm削り残し加工完了

●R0.75mmで仕上げします。
送り速度:12mm/s
ピッチ:0.2mm
加工時間:約2時間


▲R0.75mm仕上げ加工

▲R0.75mm仕上げ加工完了


▲上半身正面側

▲上半背面側



●まとめ
 アンダーカットや工具の入りきらなかった箇所など加工できなかった部分はありますが水着部分や女性特有の曲面部分も概ね再現できてます。
加工後の手仕上げも容易ですしモデラの被削材としてはかなり良好だと思います。
同じ樹脂系のABSにくらべても加工のしやすさ(加工時間短縮)やコスト的にも有利になりそうです。
注意点としては樹脂自体に溶剤が含まれてますので加工中かなりシンナー臭がしますので換気には注意が必要です。


▲削れなかった部分(赤い部分)

▲加工の様子



●以下、今回使用したレジンキャストです。(※アフィリエイトリンクです。)

ウエッジクランプ(コンパクト版)の製作

 以前、ウエッジクランプを製作しましたが今回はサイズをコンパクトにしたウエッジクランプをつくってみました。
▲コンパクト版ウエッジクランプ


クサビ部分にガイドを設けたので均一に拘束できるようになってます。



ストッパーもストレートタイプとL字タイプの2種類つくりました。


▲ワークガイド L字タイプとストレートタイプ




出来上がったのはこんな感じです。材質はPOMになります。

▲完成したウエッジクランプとワークガイド


ウエッジクランプのベース部品とワークガイドのストレートタイプにはT溝テーブル用にガイドがありますのでT溝テーブと併用するこで溝に対して常に直角に装着できるようになってます。
▲T溝用のガイド




使用方法はワークに押し当ててまずベース部品をネジで固定してから、クサビ部品のネジを締め付けます。


▲使用イメージ

POM自体に摺動性があるのですべる場合は、ワークの間にゴムシートを挟むことで拘束力が高まります。

▲拘束力up&ワーク傷防止



以下のサイトに3Dモデル公開してます。
ご自由にどうぞ。
・ウエッジクランプ(コンパクト版)
・ワークガイド(L字タイプ&ストレートタイプ)